映画『雨月物語』(溝口健二監督)を観た

製作:1953年 日本

監督:溝口健二

 

イタリアからの留学生に「日本の映画で何見たことあるの?」って聞いたら、『東京物語』と『雨月物語』と回答され、ちょっと狼狽えた(ジブリとかを期待していた)。

なんか、よくわかんないけど恥ずかしくなった。

東京物語は観たことがあったので、雨月物語を急遽観ることにした。

 

以下、フィルマークスより転載。

 

カメラワーク?演出?なんと言ったらいいのか。全然見飽きない。

若狭様が初めて登場する場面は、視点が上からゆっくり降ってきて、明らかに妖艶な怪しい人物が他とは違うゆっくりとした速度で手前に近づいてくるという演出で、初見視聴者(私)を「うわ、こいつ、やばいやつだ」と直感させることに成功していた。
(京マチ子田中絹代……他の映画も観なきゃ)

怯える演技をする役者にカメラが迫り、役者はカメラに刀を振る、とかも、緊迫感とか焦りの感情を上手く伝えていると思う。すげー
モノクロ映画だからか、光と影の演出が巧み。場面によってはわざとシャドウメイクを入れて、陰影を強調していたり。
人と人とがぶつかり合う演技が愛らしいと思えるほどに自然。市場の雑踏の長撮りとかは見ていてワクワクした。
建物の影と湖面のキラキラが綺麗だった。横顔も後ろ姿も、朽ちた木材も、シルエットって美しいんだなって思った。

横に縦に奥行に、カメラが違和感なく移動するので、どーやって撮影したのか気になった。

ストーリーは戦争でごちゃごちゃになった生活を再構築するお話。
戦争だけが悪いのではなく、人の欲も悪さの一因だけど、でも戦争がそもそもの元凶に変わりはないという。私はあまり好きではない。
男女の描き方は時代の制約もあって古すぎるので、むしろスルーできる。

(※Wikipediaを見ると当時の称賛の声(「溝口は健気な女性を描く天才だ」系)が惜しみなく載っているので、真に受ける現代っ子がいないか不安にはなるが)

90分にしては詰め込みすぎかもしれないが、テンポがいいから見飽きないのかも。