映画『片袖の魚』(東海林毅監督)を観た

製作:2021年 日本

 

「誰かと思った」、「全然わからなかった」、「すっかり女じゃん」という無意識の差別やバイナリーな世界観を反映した言葉がけ*1を、過去にトランス手術を受けた友人にしてしまったことがあるので、鑑賞後は反省の念に潰されて落ち込んだ。

特に、「いつからそうなの?」という質問と全く同じ言葉を当事者である友人にかけてしまっていたと思う。当時私達は高校生~大学生だったのでお互い不勉強だったとは思うが、何もフォローしないまま大人になってしまった。今後の生き方を考える必要に迫られる内容だった。

「もしかして男の人?」という質問に対し、ひかりが煮え切らない回答をしてしまう場面は回答内容も含めて胸が苦しくなる。マジョリティによって用意された分かりやすい説明を、きちんと回答してもよいはずの当事者が差別や無理解を恐れて、結局請け負ってしまう構造を再現していると思う。

*1:このような無意識の差別を「マイクロ・アグレッション」と言うらしい。アメリカにずっと住んでいるアジア系の見た目をした人に対して、「英語が上手ですね」と言うことなどもその一つ。